嘘か誠か?…の裏話 |
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2001年9月11日、ニューヨークで同時多発テロが起きたちょうどその頃、堀内邸の上空に雷雲が発生し、約10分間にわたる落雷の断続攻撃に見舞われました。 元々、夫の方は幼少時代から大の音楽好きで、英米のロック・ポップスにどっぷり浸る青春時代。10代後半からギター片手にバンド活動、20代前半には仲間内で自作自演の曲をレコード化した経験もありました。涸れることのない泉のように、こんこんと湧き出る曲の数々 ・ ・ ・ただし、それに見合う歌詞と歌声がないというジレンマを抱えており、自身が作る詩と言えば、「いいことしようや」「いいことできなくてやるせない」系ばかりで、ほとほと嫌気がさしておりました。その後、社会人として自立することの重みを噛みしめながら、プログラマーの道を歩み始め、いつしか積極的に音楽と関わることを忘れていったのです。 一方妻は、フォークとロックの違いすらわからないほど音楽には疎く、知ってる曲と言えば、父親譲りの懐メロと軍歌、あとはテレビ番組の主題歌と小学校唱歌程度。むしろ音のない世界にあこがれ、大学時代にパントマイム(無言劇)を習い始め、その熱が高じてアメリカに留学し、現地でその道のプロになってしまったほどです。でもある時期を境に、青春のすべてを賭けたこの世界で、自分が何をしようとしているのかわからなくなり、突如翻訳業に転身し、「善良な一般ピープル」になるべく、涙ぐましい努力を開始したのでした。 そんな妻に、夫は結婚当初から「詩を書いてみないか?」とか「声を出した方がいい」とか、折りに触れて提案していましたが、妻にしてみれば、創作活動 ・表現行為に未練はあっても、音楽がその手段になるとはとうてい思えず、時折自室にこもってギターをつま弾く夫の姿は、彼女にとって「自分が興味を持つことのない別世界の住人」としか写らなかったのです。 ところがある日、犬の散歩をしている途中、感電した妻の脳ミソに突然英語の詩が浮かんできました。訳もわからないまま浮かんだ言葉を深夜パソコンに打ちつけ、翌朝夫に見せると、彼はものの10分と経たないうちに、その詩に曲をつけてしまったのです。二人で歌ってみると ・ ・ ・これがなかなかいけてる!?? 「俺の曲には本物の英語の歌詞が必要だったんだ!」「パントマイムで表現できなかった世界がここにあるかもしれない!」と、二人はそれぞれに興奮し、盛り上がった勢いで、その後次々に新曲を産み出し、ついでに子供まで作ってしまいました。 この盛り上がりは次第に増長し、ついには自己陶酔しているだけでは飽き足りなくなって、結婚記念パーティにかこつけ、友人・知人を餌食に、外部に露出してしまおうということになったのでございます。 そんなコンサートに、一体どなたがおいでくださるのか想像もつきませんでしたが、脳ミソを感電した人が、もしかして他にもいるかもしれないというはかない希望のもとにご案内を差し上げたところ、思いのほか多くの方々から「出席」のご返事をいただきました。 聴衆の反応はさまざまでした。妻の出産後にリリースしたミニアルバムについても然り。「感激した!」と熱い感想をすぐさま送ってくれる方々がいる一方で、近しい友人ほど二人が突如歌い出したという事実を〈黙殺〉してくださったりする・・・それにもめげず新曲は増殖し続けておりますので、この活動は当分とまらないでありましょう。 |